フランスの情報・資料集「e-dico フランス」

リサーチをしながら拾い集めた情報を、短くまとめた電子フランス辞書(dicoイーディコ)です。このページには、若者がイスラム原理主義の 影響を受けて、ジハードに旅立っているフランス社会の問題と、イスラム過激派によるテロ・未遂事件などをまとめます。

Terrorisme テロの犠牲者への追悼式

1998年から2つのアソシエーションが主催してきたテロへの犠牲者の追悼式が、今年も9月19日にパリのアンヴァリッドで開催されました。 9月19日は、1989年の航空テロ事件が起きた日です。今回は、2015年11月13日にパリで起きたテロの被害者の家族らで結成した新しいアソシエーション13onze15も加わりました。

追悼式では、犠牲者の家族やテロの現場に居合わせた生存者が演説をし、前年の9月19日以降、テロの犠牲になった230人の名前が読み上げられました。

今回は、オランド大統領が主催する国家追悼式として開催され、来年に控えた大統領選を前に、数多くの主要政治家の姿も見られました。 オランド大統領は、テロ行為の被害者への補償金支払いシステムを改革すると発表しました。

(2016年9月19日)

相次ぐテロ未遂事件:女子どもを遠隔操作する男

フランスの公立小学校の新学期は9月1日。ニュースでは、テロの危険が高まっているため、学校付近で警察官が警備をしているところもあると報道していました。 息子が通う公立小学校には警察官や軍の姿はありませんでしたが、喜ぶべきか懸念すべきか。テロの危険は身近に迫っていたようです。

9月最初の日曜日、ノートルダム大聖堂の近くでガスボンベを積んだ乗用車が見つかりました。この不審車両に関わった女らが、パリの主要駅でテロを計画していたということで身柄を拘束されました。 黒いスカーフを被った女が警察官に取り押さえられる瞬間がテレビに何度も映し出され、不審車両事件がまたもイスラム過激派によるものだったことがわかりました。不審車両事件は、ガスボンベを 爆発させようとしていたところ、近所のカフェの給仕を警察官と勘違いした女が逃走したため、大事には至らなかったということですが、駅でのテロを計画していたと聞いてぞっとしました。 このテロ未遂事件で女4人が逮捕されました。

このあと、15歳の少年らがテロを計画していたとして、パリと近郊で3人の少年が別々に身柄を拘束されています。

フランスのメディア各社は、フランスの女や少年らを携帯アプリを使ってシリアのイスラム国から指示を出しているフランス人メンバーがいると伝えています。

(2016年9月15日 FBのOffice MaMiページ

Déradicalisation イスラム過激派防止対策

イスラム過激派に影響を受けている若者を迎え、過激化を防止するセンター(CPIC)が9月13日、ロワール地方にオープンしました。

これは、イスラム過激派に傾注する若者が増えていることから政府が5月に発表したイスラム過激派を防止する対策の一環で、 2017年末までにフランスの各地域に1カ所ずつ設けられる予定です。

ロワール地方に出来たCPIC第1号のセンターで受け入れるのは18〜30歳の男女で、最長10ヶ月、最大25人。対象となるのは、脱過激派の意志がある若者で、 当局の過激派リストに載っている者やシリアへの渡航を試みた者は受け入れられません。

地元住民から安全性の問題などが指摘されているほか、脱過激派の効果を疑問視する識者もいます。

(2016年9月14日 Franceinfo 、他メディア各社)

ジハードに旅立つ若者

フランスの民放テレビ局TF1で、17歳の女の子が両親の反対をおしきってシリアに向かって旅立ち、行方がわからなくなっているニュースが伝えられました。 家族の話しでは、インターネットを通じて次第にイスラム過激派に影響を受け、2014年3月11日に「人道支援に行く」と言って、トルコ行きの航空機に乗り、フランスを出国。 その後、身の安全のために居場所を明らかにしないということです。この家族の弁護士は、「フランスの未成年は家族の許可なく出国ができるのが問題だ」と話しています。

これは一例にすぎず、多くの未成年がインターネットのソーシャル・ネットワークを通じてイスラム過激派の勧誘を受け、ジハードを理由にフランスから旅立っていると見られます。
(2013年3月27日 TF1ニュース

Plan militaire シリアのイスラム国を空爆

10月8日から9日にかけて、フランスはシリアのイスラム国訓練キャンプに2回目の空爆を行った。ル・モンドは政府筋の情報として、殺害された戦闘員の中にフランス人がいる可能性があることを伝えている。 バルス首相は、「フランスはフランスに対してテロを準備するものを打ちのめす」と述べた。フランスが空爆を実行したのは、ラッカから5キロほどにあるキャンプで多くの外国人戦闘員が訓練を行っていると言われている。
(2015年10月12日 le Monde)

フランスは27日、シリア領内にあるイスラム国の訓練施設を空爆しました。オランド大統領は、ニューヨークの国連本部で記者会見をし、 「訓練施設全体を破壊し、目的は達成した」と述べました。空爆が、国連総会が開催される前日に行われたことについて、ル・モンドは、シリア問題でロシアのプーチン大統領が外交力を示そうとするなか、 フランスも重要な影響力があることを示そうとしたと分析しています。
(2015年9月28日 le Monde

欧州に大量のシリア難民が流出しているなか、オランド大統領はこれまでイラク領内の過激派組織イスラム国(EI=Etat islamique)に対して行ってきた空爆を、 シリアに拡大する可能性を示唆しました。フランスは、2014年9月から米国と共にイラクのイスラム国への空爆に参加してきましたが、 シリアへの空爆はアサド政権の勢力を強化する可能性があるとして連合軍に加わりませんでした。 オランド大統領は、「フランスをはじめ、複数の国への攻撃を組織しているのはシリアからである」、「イスラム国の虐殺により、多くの民間人が犠牲になり、難民となっている」と、シリアのイスラム国への介入を正当化し、連合軍への参加ではなく、独自に決断し行動に出ることを強調しています。
(2015年9月8日 le Monde)

イスラム過激思想に惹かれる少女たち

3月4日、オート・サボア県の15歳と16歳の高校生が、シリアのイスラム国に向かった可能性があるとして目撃情報が呼びかけられた。 少女の1人は、テレビで泣きながら娘の帰宅を訴えた母親を見て2日後に帰宅、続いてもう一人も無事に帰宅した。

同日、ル・モンドは、この事件とは全く別にイスラム過激思想に惹かれた少女たち5人のルポを伝えていた。10代の少女たちは Facebook上で知り合いになり、イスラム国に夢を見る。

子どもたちのイスラム過激化を防止するために2014年4月に設立されたCPDSIによると、同団体が見守っている数千人の若者のうち、70%は20歳未満。 イスラム国に渡ろうとする少女は最年少で12歳、少年は15歳。
(2016年3月8日 OfficeMaMi Facebook Page)

パリ同時多発テロ

1月のテロに続き、今回もフランスのメディアと当局の発表をウォッチングした。

金曜日の夜、天気がよければパリのテラスは笑い声であふれている。レストランやカフェの店内で喫煙が禁止されてから 暖房を備えたテラスはかえって賑わうようになった。そのテラスをテロリストは狙った。フランス人が喜びを求めて行くレストランやカフェ、 コンサートホール、国立競技場が襲われた。

オランド大統領は追悼式の演説で「この喜び。これこそ彼らテロリストが爆発音の中に埋葬したかったものだ」と述べ、 「我々は、歌、コンサート、スペクタクルを続け、サンドニの国立競技場に行き続けよう」と国民に呼びかけていた。

日本では、フランスの政教分離(ライシテ)が生み出した事件だと伝えられているようだが、フランスのメディアでそのような論調は強くなかった。 今回、テロリストが狙った場所、オランド大統領の演説が示唆するテロリストの狙いを検討してみる必要がある。ライシテに反意を示しているような単純なものではない。

同時多発テロ発生から数日後、当局はパリ北郊外のサンドニに事件の首謀者と見られる男がいるという情報を入手した。これがテロ5日後の警察の突入作戦につながるのだが 首謀者と見られる男は、大手企業の本社がある経済の中心地ラ・デファンスでもテロを計画していた。 一部のメディアがラ・デファンスのテロ計画を伝えていたが、検察が裏付ける発表をした時は驚いた。

テロリストが大量難民の流入に紛れて欧州に入ってきたと伝えられている。フランスは、非常事態宣言のもと、域内の自由往来を規定するシュンゲン条約の例外条項を適用し、 国境のコントロールを強化している。これに異議を唱える目立った論調はない。

フランスは9月からシリアのイスラム国を空爆している。外国人戦闘員を訓練している施設を破壊するのが目的だ。パリで同時多発テロが起きて、新たに2回の空爆実施を発表した。 インタビューをした諜報の専門家が、「空爆をすればするほど、テロは増える」と述べていた。フランスが空から訓練施設を爆撃する一方、テロリストは地上で文化と経済の中心地を襲う。

フランスは、解決策を見い出せるのだろうか。

(2015年12月2日記)

ジハード関与者の摘発

フランス警察は6月2日、パリ近郊と南仏でジハード派との関連で一斉捜査を行い、シリアに戦闘要員を派遣するために関与したとみられる4人を逮捕した。

フランスで今年4月29日に活動が開始された「反ジハード・プラットフォーム」のまとめによると、ジハードに出る可能性を危惧する家族らからの通報は121件にのぼり、ジハード候補者とみられる人々のうち、31人は未成年、46人は女性。
(2014/6/2 Le Figaro)

この摘発は、ベルギーのユダヤ美術館で起きたテロ事件でフランス人容疑者が逮捕された3日後のこと。容疑者が要注意人物リストに 入っていながら、フランス当局は犯行を阻止できなかったとの批判の声があがっています。

ジハードに旅立つ若者

フランスの民放テレビ局TF1で、17歳の女の子が両親の反対をおしきってシリアに向かって旅立ち、行方がわからなくなっているニュースが伝えられました。 家族の話しでは、インターネットを通じて次第にイスラム過激派に影響を受け、2014年3月11日に「人道支援に行く」と言って、トルコ行きの航空機に乗り、フランスを出国。 その後、身の安全のために居場所を明らかにしないということです。この家族の弁護士は、「フランスの未成年は家族の許可なく出国ができるのが問題だ」と話しています。

これは一例にすぎず、多くの未成年がインターネットのソーシャル・ネットワークを通じてイスラム過激派の勧誘を受け、ジハードを理由にフランスから旅立っていると見られます。
(2013年3月27日 TF1ニュース

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