フランスの自然地区、ミネルヴォア
フランスには、州や県など行政区分とは違う、自然地区(region naturelle)と呼ばれる地域区分があります。地形、地質、気候、水源などの物理的特徴が共通しているか、意識や文化的アイデンティティが同じ人々が住んでいるところであったり、 あるワインに適した土壌であったり、要するに人びとの共通意識が自然に生み出した地域を指しています。
le Minervois ミネルヴォア地区
自然地区のひとつ、ミネルヴォア(le Minervois)。ラングドック・ルシオン地方のエロー県とオード県にまたがる地域で、ワインと風景が自慢の土地です。
ミネルヴォアの公式サイト
Minerve、渓谷に囲まれたミネルヴ
- 川の合流地点にできた小さな島
ミネルブ
ミネルブは人口100人ほどだが、年間およそ30万人の観光客が訪れる。お目当ては、大自然がつくりだしたこの村を散策すること。渓谷に囲まれた土地に流れる 2本の川が、自然に一本に合流していく。その合流地点の直前にできた小さな島がミネルブ。
- 川から村へ入るための唯一の入り口
村の回りは城壁で頑丈に囲まれている。かつて、ここにはカタリ派の信者が住んでおり、特異な地形は外部の攻撃から住民を守ってきた。 カタリ派とは、11~13世紀ごろフランス南西部にあったマニ教の宗派のこと。1210年、カトリックはカタリ派を異端とみなして、村を徹底的に攻撃した。住民は7週間も抵抗したが、最後は140人が火刑にされてしまった。
石造りの家並みをのんびり歩いていくと、地酒ミネルヴォア・ワイン(Minervois)のカーブがある。赤ワイン5種類を試飲させてもらたが、大地の香りがほどよく感じられて美味!
散策を続けると各種ガイドが推薦するレストラン、アクセサリーなどの手工芸品の店が狭い通りのあちこちにあり、活気がある。
渓谷のなかの小さな観光地は、益々発展していくのだろう。
(2008年8月13日)
Aigne、かたつむりのような村エーニュ
- 中世の面影が色濃く残る村
細い小道をぐるっとまわっていくと町の真ん中にある教会にたどりつく。
Caunes Minervois、要塞都市コーヌ・ミネルヴォア
- 中世の面影が色濃く残る村
細い小道をぐるっとまわっていくと町の真ん中にある教会にたどりつく。
この村は、大修道院を中心に発達。修道院から細い坂道をのぼっていくと、古い家並みが目に飛び込んでくる。惹かれるままに歩いていたら、どこも家並みが似ている。美しい迷路はまるで中世に迷い込んだかのようだった。
ミネルヴォアは奥深く、興味深いところだ。南仏プロバンスのように観光客が殺到するところではない。ボルドーやブルゴーニュに比べてワインの評判も高いとはいえない。 この自然地区がどんな共通意識で結ばれている興味深い。(2008年8月15日)
Canal du Midi、ミディ運河
- ユネスコの世界遺産に登録されている。
300年の歴史を持つこの運河は、地中海と大西洋を結び、ワインや穀物を運ぶ重要な交通網だった。現在は、遊覧船が観光客を運んでいる。北海道の小樽運河のように、観光名所として生まれ変わった。